なぜ同性婚が必要とされているのか (津田大介の「メディアの現場」vol.76 より)
津田マガ記事
(※この記事は2013年5月10日に配信されたメルマガの「メディア/イベントプレイバック」から抜粋したものです)
◆なぜ同性婚が必要とされているのか——同性婚容認の世界的潮流と日本の現状
(2013年3月18日 テレ朝チャンネル2 『ニュースの深層』[*1] より)
出演:石川大我(東京都豊島区議会議員)、渡辺真由子(メディアジャーナリスト)、下平さやか(テレビ朝日アナウンサー)、津田大介
下平:こんばんは、『ニュースの深層』です。月曜日のキャスターは津田大介さんです。よろしくお願いいたします。
津田:よろしくお願いします。
下平:今日はまず、こちらの写真をご覧ください。女性が二人、笑顔で映っています。二人ともウェディングドレスを着ていますよね [*2] 。
津田:いい写真ですね。
下平:そうなんです。この写真は都内で開かれた同性のカップルによる結婚式で、同性愛者の支援活動に取り組む東小雪さん(@koyuki_higashi)[*3] と、会社員で東さんのパートナーのひろこさんです。日本では同性の結婚は認められていないのですが、お二人は女性と女性の結婚式を多くの人に見てもらいたいという思いで、結婚式を行うという念願をかなえたそうです。津田さん、この結婚式をどのようにご覧になりますか?
津田:東さんとは別の番組でご一緒したことがあるんです。その時も素敵な女性だと思ったのですが、この写真の東さんはもっと素敵な表情をされていますね。心から望んだ結婚式だということが伝わってくる、ほんとにいい写真だなと思います。ただ日本の場合、同性間の結婚は法律で認められているわけではないですよね。最近になってようやく日本でも性的マイノリティに関する議論が出てきてはいるものの、欧州などに比べるとまだまだ遅れているように感じます。
下平:今お話がありました、欧州の事情なんですが、先月2月12日にフランスの下院にあたる国民議会が、同性婚と同性カップルの養子縁組を認める法案を賛成多数で可決しました [*4] 。これは結婚と養子縁組の権利を同性カップルに拡大するという、オランド大統領の選挙公約の1つだったそうです。上院にあたる元老院では4月2日から審議入りする予定で、成立する公算が大きいということなんですね [*5] 。あらためて津田さん、今日のテーマは何でしょうか。
津田:本日のテーマは「フランスで同性婚容認へ! ……そして、日本は?」です。
下平:それでは今日のゲストをご紹介します。まずは東京都豊島区議会議員の石川大我さん [*6] です。よろしくお願いします。
石川:よろしくお願いします。
下平:石川さんはゲイであることを公表して、2011年4月に豊島区議会議員に初当選されました [*7] 。また、NPO法人ピアフレンズ [*8] でも性的マイノリティの支援活動を行っています。ゲイであることを公表して選挙活動を行ったわけですが、周りの反応はいかがでしたか?
石川:僕は生まれも育ちも豊島区巣鴨ですから、地元が抱える地域の問題や商店街の活性化の問題と並んで、性的マイノリティの問題も取り組むという姿勢で選挙に臨みました。ですから、ゲイであることを前面に出すのではなく、石川大我という個人の一人の側面としてゲイであること、そして性的マイノリティが問題を抱えていることを打ち出したんです。その結果、多くの方たちに受け入れてもらうことができました。今まで性的マイノリティの議員ということで言いますと、2003年の世田谷区議会選で性同一性障害を公表して当選した上川あやさん(@KamikawaAya)[*9] や、大阪府議会ではレズビアンであることを公表した尾辻かな子さん [*10] がいらっしゃいますけども、ゲイ——男性の同性愛者ということになりますと、2011年4月の統一地方選挙で豊島区から立候補した僕と、中野区から立候補した石坂わたるさん(@ishizakawataru)[*11] が、日本で初めてゲイとして当選した議員になります [*12] 。今、日本にはゲイであることをオープンにしている議員が二人いるという、うれしい状況ですね。
下平:石川さんと石坂さんは交流はあるのですか?
石川:彼とは昔からいろんな活動を一緒にやってきましたし、それぞれ別の活動をしてお互いが観客として参加することもありました。それが二人同時に議員になったのですから、感慨深いものがありますね。
下平:そして、もうお一方のゲストは、ジャーナリストの渡辺真由子さん [*13] です。渡辺さんはカナダをはじめ、世界の同性婚について取材されています。渡辺さん、今回フランスの下院で同性婚を認める法案が可決されたということですが、このニュースをどんなふうにご覧になりましたか?
渡辺:同性婚を認める動きは、フランスのみならず世界的に見られていますが、やはりフランスの場合は、国として「自由、平等、博愛」というモットーがありますので、性にかかわらず個人の生き方を尊重していこうという動きがあるんじゃないのかなと思います。
下平:なるほど。それにしても津田さん、私たちは同性愛について、法律的なことも含め、知らないことが多いですよね。
津田:最近では性的マイノリティの方々を表す「LGBT」[*14] という言葉が出てきて、浸透してきていますよね。石川さん、あらためてLGBTについて教えていただけますか?
石川:LGBTは、性的マイノリティを指す言葉の頭文字をとっています。レズビアン(Lesbian)のL、ゲイ(Gay)のG、バイセクシャル(Bisexuality)のB、トランスジェンダー(Transgender)のTです。レズビアンは女性として女性を愛する女性の同性愛者。ゲイは男性として男性を愛する男性の同性愛者。バイセクシャルは恋愛において性別は問題にならないという人。トランスジェンダーは、性同一性障害を含む概念ですけども、性別に違和感があり、体の性と心の性が一致しない人です。
下平:それぞれの頭文字をとって、「LGBT」なんですね。さて、津田さん、今日はお三方でどんなお話になりそうでしょうか。
津田:先ほど渡辺さんから、フランスで同性婚が認められたのは「自由、平等、博愛」の精神が背景にあるというお話がありましたが、一方でフランスは古くからのカトリック教徒の国。カトリックの価値観から同性婚に反対の声もある中で、どうして今、同性婚が世界の潮流になりはじめているのか——そのあたりを深く考えていきたいと思います。
◇LGBTのいま
下平:それではまずはこちらの取材VTRからご覧ください。
——3月1日、都内で行われたある結婚披露宴。永遠の愛を誓う二人の女性、東小雪さんとひろこさん。日本では例のない、レズビアンのカップルの結婚式です。会場には二人の友人である同性愛者らがその門出を祝った。石川県金沢市出身の東小雪さん。2005年からおよそ1年間、宝塚歌劇団花組の男役、あうら真輝として活躍。3年前にレズビアンであることを公表した。現在自ら立ち上げた性的マイノリティを支援するNPOで、同性愛者の権利を訴える活動を行っている。
東小雪:最初は、自分は身長も低くて痩せっぽちだったので、男の子を好きにならないのは自分がまだ子どもだからとしか考えてなかったんですけれども、高校2年生の時にすごく仲のいいお友達を、これは友情ではなくて恋愛なんだって気がついたことがあって。だから私は16歳の春ですね。
——お相手のひろこさん。都内のIT企業で働きながら小雪さんと一緒に同性愛者への支援活動を行っている。女の子が好きという感情に気付いたのは10歳のころ。大学生を卒業するまで親にも友達にも自分がレズビアンであることを打ち明けられなかったという。自分を受け入れることができず、仮面をかぶったような人生だったと振り返る。
ひろこ:自分が女性のことを好きなのに、そのことを仲のいい友達にも相談できなかった。隠し事をしているということで、特に高校、大学くらいの時に本当にすごく引き裂かれる思い——友達に対しても悪いっていう思いと、でも言ったらやっぱり拒絶されてしまうんじゃないか、嫌われてしまうんじゃないかという……いろんな思いがあって。それが本当につらかったですね。
——感性が豊かで積極的な東さんと、いつも穏やかで冷静なひろこさん。数年前、同性愛者が主催するイベントで知り合い、互いに惹かれ、一緒に暮らし始めた。そんな二人が結婚式をあげようと考えたのは、1年前。きっかけは東京ディズニーリゾート内のホテルがシンデレラ城で結婚式を挙げるプラン [*15] を発表した時だった。ウェディング姿に憧れていた東さんが、同性でも式を挙げることができますかとたずねたところ、ホテルの担当者からは「一般のお客さまも見守るので、どちらかが新郎の衣装を着てほしい」という答えが返ってきた [*16] 。このいきさつを東さんがツイッターでつぶやいたところ、ディズニーの対応にはがっかりだという反響があっという間に広がった [*17] 。これに対して、ホテル側は米国のディズニー本社に確認を取り、1週間後に「同性カップルによる同性の衣装での結婚式は可能です」とあらためて回答があった [*18] 。3月1日、二人の念願がかない、同性カップルとして東京ディズニーシーで結婚式を挙げた [*19] 。日本では法律上結婚できるのは男女のカップルだけ。婚姻届は出せず、結婚式はセレモニーにすぎない。それでも二人が結婚式にこだわるのは、理由があった。
去年の春、東さんがインフルエンザをこじらせ発作を起こした。救急車を呼んだひろこさんは駆けつけた隊員に「お友達ですか?」と聞かれた。「はい」と答え、単なる友達なら付き添いを断られるかもしれない、でもパートナーだと言えば救急隊員は混乱する。この時、ひろこさんは「姉です」ととっさの判断でうそをついた。法律で夫婦と認められない同性カップルは、給与の家族手当や税の配偶者控除は受けられない。財産の相続も、生命保険の受け取りもできない。
ひろこ:病気の時だったり、何かあった時に(同性カップルは)すごく困るんですよ。私たちは家族だと思っているし家族なんだけれども、法的には家族として扱われない。病気になったり、死んでしまった時に、それがすごく重苦しくかかってくるんです。
東小雪:遺言を書いているんですけれども、私の思いや意思を、ちゃんと尊重してくれるのかなっていう不安はありますね。
——こうした中、同性同士の社会生活について法的な改善を目指しているカップルがいる。東京中野区議の石坂わたる氏と、そのパートナーで、パートナー法ネット [*20] 代表の赤杉康伸氏だ。石坂氏が同性愛者であることに気づいたのは10歳の時。17歳で家族や友人に告白した。看護学校の教諭などを経て、一昨年の中野区議選でゲイであることを公表して初当選した。北海道大学法学部出身の赤杉氏は、小中学生の頃から男の子に好意を持ち始め、周囲からは「オカマ」といじめられたこともあったという。2001年に上京、ゲイに関する政策調査などを通じて石坂氏と出会った。現在は婚姻法が適応されない、さまざまな関係を守るための特別配偶者法(パートナー法)制定を目指す全国ネットワークの代表を務めている。二人は一緒に暮らしておよそ10年。家を探した際、大家の理解が得られず苦労した。やっと家を見つけても、ゲイのカップルが入居したと、住民からの苦情もあったという。
石坂:普通に家族として同居してはいますけども、契約上は友人として、血縁関係のない男性二人の契約というかたちでマンションに住んでいます。
赤杉:同性二人——特に男性二人で民間の賃貸住宅を借りようとしても、大家さんがなかなか「うん」と言わなかったりですとか、集合住宅でも一戸建てでも、購入しようとした時に結婚してるカップルの方ですと、その世帯の合計の収入で住宅ローンを組めるんですけども、同性カップルの場合、法律上は赤の他人なので、なかなか二人の収入でローンを組むことができない。
——同性愛者と市民が一緒に地域づくりに参加できる社会を目指したいと語る二人。同性愛者の法的権利を保障する働きかけを国会議員に行っている。世界では、同性カップルの結婚は2001年にオランダで初めて認められた。その後、ベルギー、スペインなども同性婚を認め、欧州では比較的多くの国に浸透している。米国も2004年にマサチューセッツ州で始まった同性婚合法化の動きが、9つの州と首都ワシントンにまで拡大。オバマ大統領も1月、大統領の就任演説としては史上初めて、同性愛者の法の下の平等を訴えた。2月、フランスの下院は同性婚と同性カップルによる養子縁組を認める法案を賛成多数で可決した。4月に行われる上院の審議でも、与党社会党をはじめ、左派政党が可半数を占めており、法案は成立する公算が大きい。これに対して、パリのキリスト教指導者は、同性婚は社会基盤を揺るがし、子どもの差別につながると批判。法案の撤回を求める市民は反対デモを行った。
インターネットやツイッターなど、ソーシャルメディアの普及で近年同性愛者であることを公表する人が増えてきたと語るのが、東京都豊島区議の石川大我氏だ。ゲイであることを公表し、一昨年豊島区議に初当選した。中学生の時に自分が同性愛者であると気づくが、誰にも言えず、悩みながら思春期を過ごした。パソコンでホームページを見るうち、自分と同じ存在がいることを知り、多くの当事者と交流するようになった。
石川:今やっと日本の中で同性カップルの可能性が見え出してきたなあと思ってるんですね。同性カップルがいて、その人たちは男女と同じように、男女と変わらないような関係を築き、そして互いに尊重し合いながら生きていきたいと望んでいる——そのことを社会がようやく認知してきたと思っています。ただ、私たち当事者が、同性同士、二人で暮らしているとこんなことで困っているんだ、こういうところを変えてほしいということを積極的に社会に対して訴えていくことが大切だと思いますね。
——大好きなミッキーマウスの祝福を受け、結婚式を挙げた東小雪さんとひろこさん。二人の生活が始まった今、ひろこさんはカメラの前でこう語った。
ひろこ:私たちは一生懸命生きているってことを見てほしい、それが一番大きいのかなと思って。気持ち悪いと思う人が家族の中にいるかもしれないし、同僚にいるかもしれない。でも、いろんな人のすぐ隣にいる存在なんだということを、泣いたり笑ったり怒ったりしながら一生懸命生きているってことを、伝えていきたいと思います。
下平:今ご紹介しました東小雪さんとひろこさんのカップル。3月1日のお昼に東京ディズニーシーで親族のみの結婚式を挙げて、夜には東京汐留のホテルで披露宴を開き、仲間からも祝福を受けたということです。この披露宴には石川さんも出席されたと伺いました。
石川:そうですね。LGBTの当事者がたくさん参加していて、みなさんの笑顔が印象的でした。中にはプライバシーの問題でVTRに映ることができない人たちもいますけども、みんな自分のことのように喜んでいたというのが感動的でしたね。時代が1つ前に進んだなと思っています。また、若い世代にとっては、これが1つのロールモデルになるのではないかとも思いました。というのは、思春期を迎えて、自分は同性に気持ちが向くことを初めて理解した時、自分は孤立していると感じて、将来はどうやって生きていったらいいんだろうと思い悩んでしまうんです。でも、そんな当事者にこの結婚式のことを知ってもらえれば、自分たちにも幸せな未来があるんだという希望を持てるのではないかと思うんです。
津田:一度東京ディズニーランドから断られたけれども、その後、世論が影響して撤回させることができた [*21] ——紆余曲折は経たけれども、一歩前進したことは事実ですよね。
下平:渡辺さんも取材をされていて、同性婚を取り巻く環境や社会に何か変化が訪れていると感じることはありますか?
渡辺:企業レベル、社会レベルでは、まだまだ同性婚に対して強い違和感を持っている組織もあります。ただ、本当に一般市民の間では「好きな人同士がくっつくんだから別にいいじゃん」というような意識の変化がだいぶ進んできたと思いますね。
下平:まだまだ変わるべきところもあるという……。
渡辺:もちろんそうです。今回のディズニーの対応を見ても、当初は「一般のお客さまも見ているから女性と男性の格好にしてくれ」と断ったわけです。裏を返せば、「一般のお客さま」が同性婚に対して差別的な意識を持っているからやめてほしい、と言っているようなものです。それって、「一般のお客さま」に対しても失礼な物言いでもあると思うんですよね。
◇同性婚をめぐる世界的な動き
下平:日本ではまだ認められていない同性婚ですが、海外の事情をあらためて確認しましょう。同性カップルの結婚は2001年にオランダで初めて認められました [*22] 。その後、ベルギー [*23] 、スペイン [*24] 、ノルウェー [*25] など、欧州を中心に広がり、去年6月にはデンマークでも同性婚が認められています [*26] 。米国ではカリフォルニア州やニューヨーク州など、9つの州と首都ワシントンDCで同性婚が認められています。
津田:米国では大統領選挙が行われるたびに住民投票が行われて、この間はメーン州とメリーランド州、ワシントン州で同性婚が認められましたよね [*27] 。少しずつ拡大しているということなんでしょうね。
下平:また、オバマ大統領は去年5月、米国の大統領として歴史上初めて同性婚を認めるべきだという自身の考えを示し、大きなニュースになりました [*28] 。また、今年1月に行われた2期目の大統領就任演説でも、同性愛者の法の下の平等を訴えています [*29] 。
津田:2012年5月のオバマ大統領の発言については、ツイッターで最も影響力があるレディー・ガガが支持をすると表明して、それがまた大きなニュースになりましたね [*30] 。これまでの経緯を見ると、同性婚を容認する流れは進んできていると思うのですが、渡辺さん、これはもう世界的な潮流と見てよいのでしょうか?
渡辺:そうですね。これまで同性婚を合法化してきたのは欧米の国々が中心ですけれども、欧米の国々はもともと個人の権利を尊重するという土壌があるんですね。そういった中で、性的指向というのは人々それぞれ違うのだから、それをお互いに認め合い尊重しあっていこうよという流れになっていると思います。
津田:石川さんもそうですが、性的マイノリティであることを公表して議員や首長になった人は、海外でも増えてきていますよね。たとえば、ベルリン市長のクラウス・ヴォーヴェライトさんとか [*31] 。
石川:アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル首相もそうですね [*32] 。
津田:そういう人が選ばれるということ自体、やはり社会的偏見が少なくなってきているということの表れなんでしょうね。石川さんはLGBTの当事者として、そして議員という立場になって、日本のLGBTが置かれている現状を海外と比較してどう捉えていますか?
石川:今回は同性婚というテーマですけども、同性同士のパートナーシップに同性婚とは別の法的な保障を与えるというパートナー法は、すでに世界20カ国以上で認められているんです [*33] 。欧州はもともと女性の人権や環境問題など、さまざまなテーマで先進的な取り組みを行っていて、同性婚の問題もそれらと同じように進んでいるのかなと感じています。法律ができることで単に結婚ができるというだけではなく、社会的な啓発という意味でも、すごく前進しているように思いますね。
津田:フランスでは、キリスト教カトリック教会や保守層から同性婚に対する反発もあると聞いています [*34] 。もちろんフランスに限らず、同性婚の合法化に踏み切ったすべての国で反対はあったと思うんです。でも、それを押し切ってでもこういう法案が通せるというのは、法の下の平等や博愛、自由といった精神が共有されているということなんでしょうか?
渡辺:それも1つの側面としてあると思います。加えて、国民の意識に合わせて支持を取り付けたいという政治的な側面もあります。フランスの場合、地元新聞の世論調査によれば、国民の63%が同性婚に賛成、若者に限って言えば85%が賛成していました [*35] 。つまり、若者票を取り込むのであれば、同性婚に対してはリベラルな姿勢を打ち出していったほうが得策であったということですね。
津田:フランスでは、今回同性婚を認める以前から、同性カップルのパートナーシップを後押しするような制度はあったそうなのですが、どういう制度だったのでしょうか?
渡辺:フランスには、パックス(PACS)と呼ばれる、同性・異性問わず、カップルのパートナーシップを法的に認める制度があります [*36] 。事実婚を法的に認め、婚姻とほぼ同等、婚姻に準じる関係としてカップルを扱うという制度で、1999年から開始されました。たとえば、財産の相続や分与、パートナーの死亡・病気時の休暇の取得、カップルの双方に連帯負債義務、所得税もカップル単位で申告できるようになったんです [*37] 。
津田:先ほどのお話にもありましたが、単に同居しているだけだと法的にはパートナーとして認められず、結婚している人に比べて困ることが多い——それを改善するために、より婚姻に近いかたちにしたわけですね。それが下地にあったからこそ、今回の同性婚の合法化も受け入れやすかったように思えますね。
渡辺:同性婚を合法化した国は、すでにパックスのようなパートナー法 [*38] が制定されていて、同性婚のための下地づくりができているんですよ。
津田:下地作りという点で言うと、日本ではまだまだっていうことですかね。
石川:そう思います。ただ日本は、諸外国のものを取り入れて、改良を加えながら、自分のものにすることを得意としてきた国です。ですから、いずれ日本でも同性婚であれ、パートナー法であれ、うまく取り入れられるんじゃないかなと思っています。
津田:オランダが世界で初めて同性婚を法的に認めたのは2001年。まだ10年ちょっとしかたっていないとも言えます。にもかかわらず、欧米諸国を中心に同性婚の合法化の動きが急速に進んできている。なぜこれほど急速に進展しているのでしょうか?
石川:欧州連合(EU)は全体として性的マイノリティの問題に取り組んできたんですね [*39] 。そうするとEU全体として同性同士のパートナーシップを認めていこうという流れが生まれ、それがさらに広がっていく——というのはあったと思いますね。
津田:今回フランスで同性婚の合法化がほぼ決まったと言える状況にありますが、まさに今議論が進んでいる国もありますよね。
石川:英国 [*40] やオーストラリア [*41] の議会でも審議されています。
津田:今後も同性婚を認める国が次々に出てきそうですね。
石川:このような海外の動きを紹介していると、日本から遠く離れた異国のお話のように聞こえるかもしれませんが、各国で同性婚が法的に認められるようになると、その国で国際結婚をする日本人も増えてくるわけです。たとえば、日本人のゲイがフランスに行って、フランス人の男性と結婚するというようなケースが出てくる。同性婚が認められている国にいる限りは、二人は法的にカップルとして認められますから、社会保障なども当然ですが受けられます。しかし、その二人が何らかの事情で日本に移って暮らそうと考えた時、日本は彼らをカップルとして受け入れられるのか、というのが問題なんです。日本に同性婚を認める法律がないままだと、相手のフランス人には配偶者ビザが出ないことになりますし、国内でも配偶者としては扱われない。これだけ同性婚が世界的に広がってくると、国内だけでどうすべきかを考えているだけでは不十分なんです。日本としても国際問題として同性婚の問題に関わらざるを得なくなってくると思いますね。
津田:同性婚が認められてから10年ほどたって、社会がどのように変化してきたのか興味があります。渡辺さんは以前カナダの同性婚の問題を取材されていたということですが、カナダの同性婚をめぐる動向を詳しく教えていただければ——。
渡辺:私は2005年からカナダに住み始めたんですけども、カナダはちょうどその年の7月に同性婚を合法化したんですね [*42] 。オランダ、ベルギー、スペインに続いて、世界で4番目に合法化した国になります。以前、日本向けの雑誌の取材で、女性の同性婚のカップル——カナダ人の作家と日系人の医師のカップルの暮らしぶりや同性婚を実現するに至る経緯などを取材したこともあります [*43] 。
津田:制度として認められたとしても、同性婚をするカップルが増えるかどうかは別の問題だと思うんですが、カナダではどうなのでしょうか?
渡辺:同性婚をするカップルは制度の導入以降、着実に増え続けています。カナダ統計局が公表しているデータがあるんですけれども、合法化翌年の2006年には7465件だった同性婚の件数は、5年後の2011年には2万1015件と、およそ3倍に増えています [*44] 。一方で異性婚、異性同士の結婚のほうは割合としては若干減っている、と [*45] 。
津田:カナダで暮らしていて、同性のカップルを目にする機会は日常的にありますか?
渡辺:日本に比べると非常に多いですね。電車、バスに乗っていても女の子同士がイチャイチャしていたり、男の子が別の男の子の膝の上に乗っかっていたり。そういう光景を日常的に見ますし、ダウンタウンなんかに行ってもゲイの人たちが集うストリートも普通にあります。大学に在籍した時には、最初の授業で「私はレズビアンなのよ〜」と自己紹介する大学教授もいて、かなり衝撃を受けましたね。
下平:その先生だったり、電車の中でイチャイチャしている同性同士を見て、周りの人たちはどんなふうに反応しているんでしょうか?
渡辺:反応は分かれますね。大学くらいになれば、先生が最初に打ち明けたので、生徒のほうも「そういえば私も女性のパートナーがいるんだけど」と公言しだしたり——というようなオープンな雰囲気もありました。一方で同性愛者のカップルに対する攻撃も結構あります。
津田:同性婚が制度化されたことによるポジティブな側面とネガティブな側面があると思いますが、同性愛者に対する攻撃がネガティブな側面ということですね。
渡辺:ヘイトクライム [*46] と言われる、偏見や差別が原因で起こる犯罪ですけれども、カナダの場合、性的指向に基づくヘイトクライムは2006年に80件だったんですが [*47] 、2008年には159件に増えています [*48] 。2年間でおよそ2倍。大幅に増えていますよね [*49] 。
津田:全体の数としてはそこまで多くないにせよ、2倍になってるというのは見逃せないですね。
渡辺:そうですね。合法化されてから同性カップルがおおっぴらに街を歩けるようになり、それを好ましく思わない人もいるということでしょうね。
津田:社会全体としては受け入れムードが高まっていったとしても、それを嫌う人もいる、と。逆に同性婚合法化のポジティブな側面として、たとえば経済効果のようなものはあったりするんでしょうか?
渡辺:同性婚を合法化すると、当然ですが同性カップルが結婚します。そうすると、結婚証明書の発行手数料などで税収は増えますし、民間でも挙式やパーティーの会場など需要は高まります。さらに、招待状・あいさつ状の印刷や引き出物の購入なども増えますし、結婚式の参列者が遠くから来る場合にはホテルに宿泊しますよね。米ニューヨーク市は、ニューヨーク州で同性婚を認める州法が成立してから1年で、8000組以上の同性カップルが結婚し、2億5900万ドル(現在のレートで約256.5億円)の経済効果があったと言われています [*50] 。カナダでも、同性カップルが増えたことで、ブライダルや観光、不動産などの需要が増えてきていると言われています。
津田:同性婚が増えたせいで異性婚が減るわけではありませんから、婚姻件数は純増しますもんね。さらに、同性婚であれ異性婚であれ、結婚するとなるとお金をかけるでしょうし、その後の生活も一人でいる時よりも二人のほうが消費するでしょうから、経済的にはプラスなんでしょうね。
◇日本で同性婚はできるのか
津田:同性婚問題の基本に立ち返って伺いたいんですけども、日本はそもそも同性婚を法律で認めているんでしょうか?
石川:婚姻については民法が規定していて [*51] 、その中では男、女、夫婦というような言葉は出てくるんですけれども、外国の法律にあるように、明確に婚姻は一人の男性と一人の女性によってなされる、という文言が入っているわけではないんですよ。
津田:つまり、結婚は男と女がするものという書き方をしてるわけではない、と。
石川:民法上はそうなっています。
津田:法律では同性婚が禁じられているわけではない。ということは、手続きすれば同性カップルでも結婚できてしまうのでは——と思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか?
石川:では、結婚する際に役所に提出する「婚姻届」を見てみましょうか。今日は、豊島区役所から一部もらってきました。婚姻届、まさかこんなかたちで手にするとは思いませんでしたが(笑)。
津田:すみません(笑)。
石川:えー、この婚姻届を見ると [*52] 、「夫になる人」「妻になる人」それぞれの「氏名」、「住所」、「本籍」を記入する欄があります。この欄なら、同性カップルでもそのまま記入しても大丈夫そうです。次に「父母の氏名」。これもそれぞれお父さんとお母さんの氏名を書くことは問題なさそうです。その次は「父母との続き柄」。たとえば僕が書くのだとしたら、僕は長男ですから「長男」と書きたいところですが、親切なことに「夫になる人」の続柄の記入欄には、最初から「男」と入っているんですね。長男である僕は、「長」とだけ記入することになります。
津田:たしかにそうですね。
石川:次に、「妻になる人」の「父母との続き柄」をみてみると、こちらもご丁寧に最初から「女」と入っています。男性同士が結婚しようとしていて、相手の方が次男だったとしたら、「二」とは書けるのですが、「女」がすでに印刷されています。そのため「女」を斜線で消して「二男」と書いて提出しなくてはなりません。しかしそうすると、役所の職員からは「これではダメですよ」と受理してもらえない。何としてもこれで受け取ってほしいんだと粘っても、右下の空白に年月日の入ったはんこをポンと押されて、「不受理」と書かれてしまうんです。さらにもう1枚、こういった理由で不受理にします、というような通知が添付されます。
津田:どのような理由が書かれているものなのですか?
石川:理由はさまざまですが、基本的には、民法では同性同士に婚姻をする意思を認めていない、というところですね。
津田:民法上ははっきりしていないけれども、手続きで受理してもらえない——この問題、憲法はどう規定しているのでしょうか?
石川:憲法第24条 [*53] を見てみますと、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあります。この「両性の合意のみに基いて」という部分を挙げて、同性同士の結婚はできないんだという意見が、最近ネットを中心ににわかに広がっています。
津田:「両性」の意味するところは男と女だ、と。
石川:しかしよくよく調べてみると、憲法第24条の規定があるから同性同士の結婚はできないんだ、と明確に述べている憲法学者はいないんですね。また裁判所が、同性婚は憲法が禁じていると判断したこともありません。
津田:判決としてもない。
石川:ですから「両性の合意」というところを、どう解釈するかが問題なんです。いろいろな解釈があるのですが、この規定は戦前の家制度 [*54] における結婚が当事者の男女抜きに進められていたために必要とされたもので、個人の尊重や男女の平等を婚姻の原則にすることを趣旨としているんだ、という見解もあります。また、憲法第24条2項は「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と規定しています。若い法律家の中には、この2項の「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する」という部分に注目し、これが同性婚を認める根拠になるのではないか、と主張している方もいます。
津田:つまり、憲法をわざわざ改正しなくても、民法や戸籍法などの法律で同性婚を明確に認めつつ、手続きを整備すれば、同性婚は実現する、と。
石川:はい、僕はそう思っています。
◇日本でも同性婚が必要とされる理由
津田:先ほどの取材VTRにもありましたが、同性婚が認められていないことで、具体的にどういった社会的不備が生じてるのかを教えていただけますか?
石川:日常に関わることだと、1つは住宅の確保ですね。たとえば20代、30代の若いカップルだと、お互いに経済的に苦しいから一緒に住みたいということもあります。でも、結婚した夫婦であれば簡単に借りられる物件でも、法律上は他人のカップルには借りられないことも多いんです。また、同性カップルだと言うとさらに借りづらくなってしまうこともある。同性カップルだと言わず、ルームシェアだと言えば借りられることもありますが、これが60代、70代の高齢カップルになってくると、ルームシェアといっても不審がられたり、信用してもらえないこともあります。
津田:ルームシェアって片方の都合が悪くなって突然解消することもあるから、大家さんが必ずしもOKを出すとは限らないですし、同性カップルが一緒に住むための選択肢って、結婚した夫婦に比べると確実に狭められていますよね。
石川:ほかにも医療行為の同意の問題があります。たとえば、手術をする際には、家族に同意書にサインしてもらう必要がありますよね。結婚した夫婦であれば、妻が倒れて緊急手術が必要になったら、夫が同意書にサインできますし、その逆もできます。でも同性カップルの場合、日本では二人は仲のいい友人でしかなく、手術の同意書にサインすることはできません。また、片方が救急車で運ばれて面会謝絶になってしまった場合でも、家族であれば中に入れてもらえるのですが、同性パートナーは中に入れてもらえないんです。
津田:だからこそ、ひろこさんも「姉です」と言って付き添ったわけですよね。
石川:また、配偶者には扶養控除などの税控除や社会保障も、同性パートナーには認められていません。
津田:社会的制度の不備と、偏見。2つの問題を抱えていると思います。渡辺さん、同性婚制度がないために生じている問題は、どのように解決の方向に持っていけるのでしょうか?
渡辺:そうですね、パックスのようなパートナー法を導入するというのが1つ。たとえ同性婚が認められないとしても、婚姻に付随するのと同等の権利と義務、社会保障を同性間のパートナーシップにも認めることで、改善する問題も多くあります。ただ、諸外国のパートナー法を見ると、必ずしも婚姻と同じにはなっておらず、たとえば同性カップルの子どもとして養子縁組ができなかったりするんですね。そういったところも解決していくためには、やはり同性婚をきちんと合法化する必要があります。ただ、日本ではまだパートナー法を作るという段階にも至ってはいません。同性愛者の人たちが抱える「生きづらさ」が放置されたままになっている——それが現状だと認識しています。
津田:同性婚に対して否定的な人からは「婚姻とは子孫を残して国を繁栄させるために認められているものなのだから、子孫を残さない同性愛者のカップルに認めるべきものではない」というかなり極端な意見が述べられることもあります。これについてはどのように思われますか?
石川:この質問はよく聞かれるんです。でも、たとえば、男女のカップルがプロポーズをするときに「僕と一緒に子孫を残そう」とは言わないですよね(笑)。
津田:確かに!(笑)。言われてみればそうですね。
石川:二人が一緒になって、結果として子どもが生まれることはとても喜ばしいとは思いますけども、「子孫繁栄のためにあなたと結婚するわけではない」というのは異性婚をされた方が一番よくわかってるのかなと思います。加えて、今回フランスで同性婚が合法化されるのに伴って、同性カップルの養子縁組も認められることになるんですね。生物学的には自分の血のつながった子どもでなくても、同性カップルが養子を受け入れるというかたちで、社会として子どもを育てることはできるんですよ。同性カップルが養子を育てられるようになれば、次世代を育てるという意味で十分に役割を果たせると思います。
渡辺:女性の立場から言わせてもらうと、女性は「産む機械」 [*55] ではないですよ、と。たくさん子どもを残してほしいのであれば、異性愛の女性のほうがまだまだ日本に多いわけですし、彼女たちが結婚してたくさん子どもを産みたいと思える社会を先に作ったほうが、「子孫繁栄」のためにはよほど建設的だと思いますね。
◇同性婚に対する意識の変化
津田:最近では、同性婚に対する社会全体の意識も少しずつ変わり始めているように思います。以前、インターネット国民投票サイト「ゼゼヒヒ」 [*56] をオープンした時に、「同性婚にあなたは賛成? 反対?」という質問をしてみたんですが、結構驚きの結果が出たんですよね [*57] 。ツイッターやソーシャルメディアを利用しているのでリベラルな層からの回答が多いとは思うんですが、賛成が89%、反対が11%と、同性婚にポジティブな意見が多数寄せられました。今日お話しいただいたような、相続や税制、社会保障、医療行為の同意などの問題を挙げつつ、同性婚を認めて問題を解消すべきだ、と。反対する人の意見を見ても、「同性の婚姻そのものには反対ではない。現在の婚姻という制度は異性間を前提に作られているものであり、社会生活の上で不都合な部分は別の制度で対応したほうがいい」 [*58] というような、まずはパートナー法を導入して不便を解消しつつ、婚姻の在り方をあらためて考える必要があるという意見もあります。
下平:具体的なご意見が多いですね。
津田:石川さんはこの結果をどうご覧になりますか?
石川:本当に勇気づけられますね。こういった調査は国レベル——たとえば内閣や厚生労働省が行うことはないので、データがないんですよ。ですから、民間でこういった調査をしていただいて、なおかつこれだけのたくさんの人が賛成してくれているというのは本当に勇気づけられます。また、同性カップルの幸せのために同性婚が必要だとおっしゃってくださる方もいて。同性婚を導入することは幸せな人を増やすだけだとよく言われているんです。法律が人を幸せにするためにあるのだとすれば、日本でもこれだけ後押ししてくれる方がいるのですから、早く導入してほしいなと思いますね。
下平:同性婚を受容できるかどうかということでは、文化的な背景も影響しているように思います。欧州を中心に、同性婚が国際的な流れになっているとしても、日本では儒教的な考え方や家父長制を大事にしたいという人もいるでしょうし……。
石川:そうですね、そういう考えを大事にしたい方は大事にしていただいて、その一方で同性婚もできる——それぞれを尊重しあえる社会が望ましいと思います。
津田:同性婚だけにしろと言っているわけではないですから、並立していけばいいんですよね。また、日本は世界的に見れば無宗教の国ですから、信仰する宗教の戒律で同性婚を禁られているという人も少ない。そういう意味では、欧州に比べて、変えていきやすい部分もあると言えますよね。
石川:そうですね。
津田:そろそろお時間が迫ってきたんですけども、最後に、日本におけるLGBTと結婚制度のあり方が今後どうなっていくのか望ましいか、一言ずついただけますか?
石川:今日は同性婚ということでしたけども、LGBTであっても、同性婚ではなくてパートナー法があればいいんじゃないかという人もいるし、制度がなくても二人で生きていけばいいという人もいるし、パートナーを求めずに一人で生活をしたいという人もいます。そして、同性婚をしたいという人もいる。みなさんの希望が尊重され、それにフィットする法制度がある、というのが理想だと思います。
渡辺:同性婚のことは、もっとシンプルに考えていいと思うんですね。いい大人の好きな人同士が二人で一緒になろうとしているんだから、他人が口を挟むようなことではないですよね。好きな人同士が一緒になれるような、幸せな社会になっていけばいいんじゃないかなと思います。
下平:今日は東京都豊島区議会議員の石川大我さん、ジャーナリストの渡辺真由子さんにお話を伺いました。どうもありがとうございました。
▼石川 大我(いしかわ・たいが)
1974年、東京都生まれ。東京都豊島区議会議員。NPO法人ピアフレンズ理事。明治学院大学法学部卒業後、2000年から同性愛者に関する正確な情報を伝える「すたこん企画」(現・すこたんソーシャルサービス)に5年にわたって参加。2002年に出版した著書『ボクの彼氏はどこにいる?』(講談社)で、ゲイであることをカミングアウト。LGBTの若者を支援するNPOピアフレンズを立ち上げ、性的マイノリティの人権保護を訴えてきた。福島みずほ参議院議員の秘書を経て、2012年4月の豊島区議選に社民党公認で出馬し当選。著書に『ゲイのボクから伝えたい 「好き」の?(ハテナ)がわかる本──みんなが知らないLGBT』(太郎次郎社エディタス)などがある。
ウェブサイト:http://www.taigaweb.jp/
ツイッターID:@ishikawataiga
▼渡辺 真由子(わたなべ・まゆこ)
1975年愛知県生まれ。メディアジャーナリスト。慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業。「人間が人間らしく生きられる社会を作るため、世の中の差別や偏見をなくしたい」との思いからテレビ局入社。テレビ朝日系で報道記者・ディレクターを務め、いじめ自殺を長期にわたり取材したドキュメンタリー「少年調書〜16歳の自殺 遺族は何と闘ったか〜」で日本民間放送連盟賞最優秀賞、放送文化基金優秀賞などを受賞。テレビ局退職後は子どもの「性」や「いじめ」、男女共同参画について、メディア・リテラシーの観点から著書の執筆や講演を行うほか、新聞やテレビのコメンテーターを務める。著書に『オトナのメディア・リテラシー』(リベルタ出版)、『子どもの秘密がなくなる日〜プロフ中毒 ケータイ天国』(主婦の友社)、『大人が知らない ネットいじめの真実』(ミネルヴァ書房)など多数。
ウェブサイト:http://www.mayumedia.com/
ブログ:http://mediaw.cocolog-nifty.com/blog/
メールマガジン:http://www.mag2.com/m/0001087460.html
ツイッターID:@mayumania
[*1] http://www.tv-asahi.co.jp/ch/contents/news/0003/
[*2] http://koyuki-higashi.tumblr.com/post/44615604860
[*3] http://koyuki-higashi.tumblr.com/
[*4] http://www.afpbb.com/article/politics/2927736/10275149
[*5] この法案は4月23日に下院が賛成多数で可決し、成立した。オランド大統領は、違憲審査を経て5月25日までの施行を目指している。早ければ6月にも同性婚が実現する見通し。
http://www.cnn.co.jp/world/35030801.html
http://www.cnn.co.jp/world/35031247.html
http://www.afpbb.com/article/politics/2939938/10622056
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM23088_U3A420C1EB1000/
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93M06C20130423
[*7] http://www.afpbb.com/article/politics/2797241/7135659
http://www.city.toshima.lg.jp/kusei/senkyo/senkyokekka/022025.html
[*8] http://www.peerfriends.jp/
[*9] http://ah-yeah.com/index.html
[*10] http://otsuji.blog.so-net.ne.jp/
尾辻かな子府議は、任期中の2005年8月に出版した自伝『カミングアウト——自分らしさを見つける旅』の中でレズビアンであることを公表した。
[*11] http://ishizakawataru.net/
[*12] http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/711000/d004577.html
[*13] http://www.mayumedia.com/
http://mediaw.cocolog-nifty.com/
[*14] http://www.nhk.or.jp/heart-net/lgbt/about/index.html
[*15] http://www.disneyweddings.jp/tdh/plan/
[*16] http://koyuki-higashi.tumblr.com/post/19827053856
[*17] http://togetter.com/li/280119
[*18] http://koyuki-higashi.tumblr.com/post/20347911645/x
[*19] http://www.2chopo.com/article/454/
[*20] http://partnershiplawjapan.org/
[*21] http://www.asahi.com/national/update/0407/OSK201304060139.html
[*22] http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/1253754.stm
[*23] http://www.upi.com/Business_News/Security-Industry/2003/01/31/Belgium-legalizes-gay-marriage/UPI-46741044012415/
[*24] http://www.lifesitenews.com/news/archive//ldn/2005/jul/05070405
[*25] http://www.pinknews.co.uk/2008/06/11/norway-legalises-gay-marriage/
[*26] http://cphpost.dk/news/national/gay-marriage-legalised
[*27] http://www.cnn.co.jp/usa/35024190.html
[*28] http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201205100040.html
[*29] http://toyokeizai.net/articles/-/12620
[*30] http://www.cinematoday.jp/page/N0042024
[*31] http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/media/0710/0710073544/1.php
[*32] http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2738197/5923845
[*33] http://www.sexual-minority.net/topics/150.html
[*34] http://sankei.jp.msn.com/world/news/130424/erp13042401160000-n1.htm
[*35] http://rensai.jp/?p=40957
[*36] http://www.pot.co.jp/oikenparis/pacs.html
http://pacs-japon.com/about-pacs/archives/3
[*37] フランスでは、離婚が日本に比べて難しいこともあり、異性間でも事実婚が多かったため、婚姻ではなくパックスを選択する異性カップルも多い。
http://mediasabor.jp/2008/02/pacs.html
[*38] ドメスティック・パートナー法、シビル・ユニオン法、登録パートナーシップ法などさまざまな呼称はあるが、いずれも同性・異性のカップル間に、婚姻と同等、もしくはそれに準じる法的な権利や義務、保障を与える法律を指す。
http://partnershiplawjapan.org/global/
http://synodos.jp/society/3465
[*39] 1997年6月のアムステルダム条約に伴って改正された欧州共同体設立条約の第13条では、欧州理事会が対抗措置を講じることのできる差別の中に「性的指向」が盛り込まれた。この条約に基づき、欧州理事会は2000年7月に「一般雇用均等待遇指令」を採択し、性的指向などを理由にした雇用差別を禁止するようEU加盟国に義務づけた。また、同年12月7日に交付された「欧州連合基本権憲章」の第21条で性的指向による差別の禁止を明記した。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/pdf/071102.pdf
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h20kokusai/pdf/all/3-4eu.pdf
[*40] 英国では今年2月に同性婚合法化法案が下院で可決している。
http://www.cnn.co.jp/world/35027863.html
http://www.afpbb.com/article/politics/2925922/10227676
また、英内務省は教会など宗教施設での結婚式を可能にするため、婚姻法改正の検討に入った。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2785296/6813052
[*41] オーストラリアでは2012年9月に同性婚合法化法案の採決を行ったが、上院、下院とも否決された。
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/43104/
http://news.jams.tv/jlog/view/id-10347
しかし、今年4月に隣国ニュージーランドで同性婚合法化法案が可決したことを受けて、オーストラリア国内でも再び同性婚を求める動きが活発になってきている。
http://www.abc.net.au/news/2013-04-18/australia-urged-to-follow-nz-on-same-sex-marriage/4636026
ニュージーランド議会(一院制)は4月17日に、同性婚合法化法案を賛成多数で可決した。アジア太平洋地域で初。
http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013041701002212.html
http://batgirlnews.hateblo.jp/entry/2013/04/19/090018
また、ウルグアイでも今年4月に同性婚を合法化する法が成立した。
http://www.cnn.co.jp/world/35030730.html
[*42] http://www.foxnews.com/story/0,2933,163054,00.html
[*43] http://mediaw.cocolog-nifty.com/blog/samesexmarriage.html
[*44] http://www.huffingtonpost.ca/2012/09/19/canada-marriage-census-2011_n_1896155.html
[*45] http://www4.hrsdc.gc.ca/.3ndic.1t.4r@-eng.jsp?iid=78
[*46] http://kotobank.jp/word/%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0
[*47] http://www.statcan.gc.ca/pub/85f0033m/85f0033m2008017-eng.pdf
[*48] http://www.statcan.gc.ca/pub/85-002-x/2010002/article/11233-eng.pdf
[*49] 2010年の統計では、性的指向に基づくヘイトクライムは218件と増加を続けていることが伺える。
http://www.statcan.gc.ca/pub/85-002-x/2012001/article/11635-eng.pdf
[*50] http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE86O03G20120725
http://www.cnn.co.jp/usa/35019579.html
[*51] http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html#1004000000002000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
[*52] 以下のURLは法務省が公開している婚姻届の記入例。
http://www.moj.go.jp/content/000011716.pdf
[*53] http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html#1000000000000000000000000000000000000000000000002400000000000000000000000000000
[*54] http://www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai/kikanshi/ronbun8-4/shen.pdf
[*55] http://www.asahi.com/special/060926/OSK200701270070.html
[*57] http://zzhh.jp/questions/2
[*58] http://zzhh.jp/questions/2?answer_id=4034
最終更新: 2013年5月17日