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テレビ、ラジオ、Twitter、ニコニコ生放送、Ustream……。マスメディアからソーシャルメディアまで、新旧両メディアで縦横無尽に活動するジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介が、日々の取材活動を通じて見えてきた「現実の問題点」や、激変する「メディアの現場」を多角的な視点でレポートします。津田大介が現在構想している「政策にフォーカスした新しい政治ネットメディア」の制作過程なども随時お伝えしていく予定です。

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特別企画:パブリックコメントを送ろう!(津田大介の「メディアの現場」Vol.66 より)

津田マガ記事


(※この記事は2013年2月22日に配信されたメルマガの「今週の原発情報クリッピング」から抜粋したものです)

 

原発・放射線に関するニュースの中から、僕、小嶋が気になったものにコメント、解説を加えていきます。今回は、原発再稼働および新増設時の新安全基準のパブリックコメント募集について取り上げます。

 

◆特別企画:パブリックコメントを送ろう!

原子力規制委員会は2月6日、これまで電力事業者の自主的な取り組みに任せていた原発の過酷事故(シビアアクシデント)対策などを法的に義務づける新しい安全基準の骨子案を了承しました [*1] 。新安全基準の骨子案では、東京電力福島第一原発事故の反省を踏まえた地震・津波など天災への防護対策に加え、サイバー攻撃やテロ行為、航空機の衝突などへの対策が求められています。また、緊急時に原子炉の冷却作業を遠隔操作できる「特定安全施設」(第2制御室など)や、免震機能や放射線の遮蔽能力の高い「緊急時対策所」などの設置を求めてもいます。この新安全基準は新増設の際の審査だけではなく、既存の原発にも適用されます。つまり、原発再稼働時の条件にもなるということです。

規制委では、この骨子案に基づいてパブリックコメントの募集や専門家らのヒアリングを実施して、条文案を作成するとしています。

この新安全基準についてのパブリックコメントの募集の期限が28日までと迫っています。

 

◇「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」に対するご意見募集について – 原子力規制委員会

http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206.html

パブリックコメントとは行政手続法に定められている意見公募手続きのことで [*2] 、行政による規制の導入や撤廃に際して広く意見を求め、その意見を政策決定に反映させるために行われます。原子力規制委員会は新安全基準についての議論を公開しており、傍聴やインターネットで視聴したり、議事録を見ることもできます [*3] 。しかし、国民がこの新安全基準について意見を伝えることができるのは、今のところこのパブリックコメントしかありません。

パブリックコメントなんて形式上やっているだけで意味はない、と思う方もいるでしょう。確かに以前はそうだったかもしれません。しかし、昨年7月から8月にかけて行われた「2030年の原発比率」に関するパブリックコメント募集の際は、8万9124件の意見が寄せられ、そのうち87%が原発ゼロを求めました [*4] 。前政権はこのパブリックコメントや並行して行われた意見聴取会の結果について、「過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と総括し [*5] 、それ以降、この意見が国民の大多数の声であるとして、政府の選択肢に縛ってきました。また最近でも、2月12日に締め切った原子力災害対策指針に対するパブリックコメントの募集に予想以上の意見が集まり、2月20日に予定されていた指針の正式決定が延期されています [*6] 。意見の整理に時間がかかっているようですが、集まった意見の内容によっては、意見を踏まえた検討があらためて行われるかもしれません。

原発新安全基準にもたくさん人が意見を送り、多くの国民が原子力規制に強い関心を持っていると示すことが重要です。パブリックコメントは郵送やFAXに加え、インターネットのフォームからも簡単に送ることができます。パブリックコメントは内容が大事としばしば言われますが、僕は数も重要だと思います。一言でもよいのでパブリックコメントを送ってみてはいかがでしょうか?

パブリックコメントは「新安全基準(設計基準)骨子案及び②新安全基準(シビアアクシデント対策)骨子案」に対するものと「新安全基準(地震・津波)骨子案」に対するものの2つに分かれています。

僕もこの2つについてパブリックコメントを書いたので、参考資料と併せて掲載します。

 

◇「新安全基準(設計基準)骨子案及び②新安全基準(シビアアクシデント対策)骨子案」に対する御意見について

https://www.nsr.go.jp/ssl/public_comment/bosyu130206_1/

・設計基準骨子案 9ページ 「航空機落下」について

「航空機落下については、旧原子力安全・保安院の『実用発電用原子炉施設への航空機落下確率の評価について』等に基づき、防護設計の要否について確認する」としているが、故意の航空機落下について確率での評価が可能か疑問である。防護設計は必要とすべきである。隕石などに関しても同様に考慮すべきである。
その他、骨子案で直接言及されていない点に関して意見を述べる。

・規制・指針の策定・改定プロセスの見直し

国会事故調の報告書において、規制・指針の策定・改定プロセスの「健全なプロセス」が示されている。そこでは規制・指針のたたき台の段階から地域住民の意見が反映され、基準の調整の段階においてようやく事業者に意見・交渉の機会が与えられるとなっている。しかし、今回の骨子案の策定段階からすでに事業者からの聴取が行われており、骨子案にも一部採用されている。同報告書に基いて策定・改定プロセスを改め、事業者の意見が採用された部分は骨子案から外すべきである。

・有識者の選定見直し

自己申告によれば「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」の有識者6名のうち4名が電力会社や原発プラントメーカーなどから利益を受けており、利益相反に当たる。有識者の選定を見直すべきである。特に山口彰氏は文部科学省の原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会の委員でもあり、明確な利益相反である。

・代替設備については恒久施設を必須とし、猶予期間は認めるべきではない

「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」の第10回で、中部電力から可搬施設は接続に10時間かかるという指摘があった。原子力安全・保安院の解析では1号機は地震から4時間後に炉心損傷が始まっている。代替設備については恒久施設を必須とし、猶予期間を設けることは安全性の観点から考慮すべきではない。
・水蒸気爆発対策の義務付け

コアキャッチャーなど水蒸気爆発対策を義務付けるべきである。
・原子炉の集中立地の禁止

更田豊志委員が以前指摘したように原子炉の集中立地の問題も考慮すべきである。福島第一原発事故のように事故が起こった際に対応が難しくなるほか、事故の規模も大きくなる。

 

◇「新安全基準(地震・津波)骨子案」に対する御意見について

https://www.nsr.go.jp/ssl/public_comment/bosyu130206_2/

・1ページ 「地震及び津波に対する設計の基本方針」について

「『将来活動する可能性のある断層等』としては、後期更新世以降(約12~13万年前以降)の活動が否定できないものとすること。その認定に当たって、後期更新世の複数の地形面又は連続的な地層が欠如する等、後期更新世の活動性が明確に判断できない場合には、中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡って地形、地質・地質構造及び応力場等を総合的に検討した上で活動性を評価すること。なお、活動性の評価に当たって、設置面での確認が困難な場合には、当該断層の延長部で確認される断層等の性状等により、安全側に判断する必要がある」とあるが、後期更新世と中期更新世のどちらを基準とするのかわかりにくい。今後解釈で問題とならないように「『将来活動する可能性のある断層等』としては、中期更新世以降(約40万年前以降)の活動が否定できないものとすること」とした上で、「活断層の可能性が否定できないものは、活断層とみなす」ことを明記すべきである。

・19ページ 「津波防護施設」について

津波対策となる水密扉について、手動式では地震発生時から津波到達までの間に閉める作業が間に合わない可能性がある。自動式を要求すべきである。
その他、骨子案で直接言及されていない点に関して意見を述べる。

・福島第一原発1号機の非常用復水器についての再調査の結果を新安全基準に反映させるべき

福島原発事故について、国会・政府事故調など各事故調でもまだ原因について未解明の部分がある。東京電力の国会事故調への調査妨害問題で、福島第一原発1号機の非常用復水器について再調査が行われる可能性が高い。国会事故調の報告書では1号機について地震によって小規模の配管破断が起きたために非常用復水器が機能しなかった可能性があるとしている。仮にそうだった場合、耐震設計の見直しが必要になるであろう。原子力規制委員会の田中俊一委員長は7月までは新安全基準の策定などがあり、本格的な事故調査まで手が回らないとしているが、少なくともこの再調査の結果に関しては新基準に反映させるべきである。

 

◇参考資料

・第5部 事故当事者の組織的問題(その1) | 国会事故調
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3856371/naiic.go.jp/blog/reports/main-report/reserved/5th-1/#toc-5-2

・発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム|会議|原子力規制委員会
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_anzenkijyun/

・原子力規制委員会が、電気事業者等に対する原子力安全規制等に関する決定を行うに当たり、参考として、外部有識者から意見を聴くにあたっての透明性・中立性を確保するための要件等について
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/data/sinkoku_youken.pdf

・原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会 委員名簿:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/061/meibo/1327645.htm

・角山茂章|安全基準骨子案に対する意見
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_anzenkijyun/data/0014_12.pdf

・発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム|会議|原子力規制委員会
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/

・FoE Japan | 気候変動・エネルギー
http://www.foejapan.org/energy/action/130213.html

・FFTV特集21 ここが問題!原発「新安全基準」~再稼働に急ぐ原子力規制委員会
http://www.ustream.tv/recorded/28470166

・FFTV特集23 原発「新安全基準」:パブコメで安易な再稼働にブレーキを~後藤政志さん(元原発技術者)を迎えて~
http://www.ustream.tv/recorded/29143632

・実践セミナー:みんなで書こう!原発「新安全基準」&「防災指針」パブリック・コメント
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/2918-55b2.html
[*1] http://mainichi.jp/select/news/20130206k0000e040172000c.html

[*2] http://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88

[*3] http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_anzenkijyun/

[*4] http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive12_02.html

[*5] http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL280HE_Y2A820C1000000/

[*6] http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG18039_Y3A210C1CR8000/

 

最終更新: 2013年2月25日

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