元内閣官房参与が考える、現実的な脱原発政策論 ──前編:汚染水問題と社会的受容性
津田マガ記事
(※この記事は2013年10月11日に配信されたメルマガの「メディア/イベントプレイバック」から抜粋したものです)
3.11をきっかけに、女優の松田美由紀さんやジャーナリストの岩上安身さん、映画監督の岩井俊二さんらが発起人となって誕生した、未来の環境を考える会「69(ロック)の会」。これまで僕も何度か参加しているのですが、9月9日に開かれた本会にゲストとしてお越しいただいた多摩大学大学院教授で工学博士の田坂広志さんのお話がとても興味深く、メルマガでも前後編にしてお届けすることにしました。原子力の専門家であり、菅内閣で内閣官房参与も務めた田坂さんが語る福島第一原発事故当時の官邸の状況、そして今後議論するべき現実的な脱原発政策とはなにか。前編では、おもに汚染水問題についてお話しいただいていますので、メルマガ本号のニュースピックアップ Expandedとあわせてご一読ください。
◆元内閣官房参与が考える、現実的な脱原発政策論
──前編:汚染水問題と社会的受容性
(2013年9月9日「69(ロック)の会」[*1] より)
出演:田坂広志(多摩大学大学院教授・工学博士)、津田大介
津田:今年の夏以降、次々と発覚する福島第一原発の汚染水問題。本日は多摩大学大学院教授で原子力工学博士の田坂広志さん [*2] をお迎えし、汚染水問題について、そして原発事故の包括的な問題点についてお伺いしていきたいと思います。田坂さんといえば、原発事故直後の2011年3月、当時の菅直人首相に要請されて内閣官房参与に就任し [*3] 、同年9月に辞任する [*4] まで、政権の中枢で事故対応にあたられたことでも知られています。当時、政権内部では何が起こっていたのかも含めていろいろお話しいただきたいのですが、まず、内閣官房参与を務めることになった経緯についてお聞かせいただけますか? 菅元総理とはもともとお知り合いだったのでしょうか。
田坂:菅元総理と初めてお会いしたのは2011年1月でした。世界経済フォーラム [*5] というスイスの非営利財団が毎年1月に世界中の政治家や経営者、学者を集めて開くダボス会議 [*6] という会合があるのですが、私はそのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーなのです。そして、このダボス会議には、毎年、日本の総理に来ていただこうということで、どの政権の誰が総理であろうと、お招きするのが通例になっているのです。
津田:たまたま2011年に総理大臣をしていたのが菅元総理だったと。
田坂:そうです。ただ、初めて菅元総理にお会いしたときの不思議なエピソードがあります。総理に会うときには、事前に経歴書を渡しておくのですが、私は、自分が原子力工学の博士であることは、いつも経歴書の端のほうに目立たないように書いてあるのです。ところが、菅元総理と初めてお会いしたとき、「田坂さんは、原子力が専門ですか」とおっしゃったのです。当時は、東日本大震災の数カ月前ですから、原発事故が起こるなど、誰も夢にも思っていなかった頃です。いま思い返せば、菅元総理には虫の知らせのようなものがあったのかもしれません。
津田:なるほど、菅元総理は田坂さんが原子力工学を専門にしているということを覚えていて、あの原発事故が起こったあと、それを思い出したということなんですね。それまではどのようなかたちで原子力工学に関わってこられたのでしょうか。
田坂:私は1970年に大学に入ったのですが、専門を決めるとき、工学部の原子力工学科を選んだのです。そして、「原子力の環境安全性」を研究テーマにしたいと思い、医学部で放射線生物学や放射線健康管理学を2年間学び、その後、大学院に戻って「核燃料サイクルの環境安全研究」で博士号を得たわけです。学位を得た後は、民間企業に就職し、原子力産業に携わっていました。ただ、その後、1990年に日本総合研究所 [*7] というシンクタンクの設立に参画したため、この時期に原子力の世界から離れたのです。ところが、2011年に福島第一原発事故が起こり、私がかつて国際学会の議長まで務めた「原子力の環境安全研究」の専門家であったことから、また原子力の世界に呼び戻されることになったわけです。すなわち、大学入学から20年間原子力の世界を歩み、その後20年間、別の世界を歩み、また原子力の世界に戻ることになったという、ある意味で、不思議な運命とでも呼ぶべき経歴だと思っています。
津田:そもそも、大学で原子力工学を選ばれたのはなぜですか?
田坂:私が大学に入学した1970年頃というのは、日本をはじめ世界中がエネルギーを石油に依存していた時代です。そして、スリーマイル島の原発事故 [*8] もチェルノブイリの原発事故 [*9] もまだ起こっていませんでした。だから、原子力は「未来のエネルギー」として多くの国民から期待が集まる存在だったのです。ただ、私が原子力工学を選んだ理由は、原子力はたしかに未来に希望の持てるエネルギーかもしれないが、ひとつ大きな問題があると考えたからです。それは放射性廃棄物 [*10] の問題です。原子力発電を推し進めれば、必ず将来、これが深刻な問題になることは当時からわかっていました。それゆえ、放射性廃棄物の問題は、「原子力のアキレス腱」とも言われていたのです。だからこそ、私は「放射性廃棄物の環境安全評価」をテーマにして研究を続け、それを学位論文にもしたわけです。
津田:研究者たちには40年も前から懸念されていた「アキレス腱」が、いま現実のものとなっているわけですね。原発事故とは別の問題として、この数年は世界の原発先進国が放射性廃棄物の問題に頭を抱えています。
田坂:そうです。私の学位論文の研究においては、放射性廃棄物による環境汚染について様々なコンピュータ・シミュレーションをしたのですが、それは、そうした汚染を起こさないための「予防的な研究」として行ったわけです。つまり、当時は、日本の国土が現実に放射性物質で汚染されることなど、想像もしていなかった。むしろ、放射性廃棄物による汚染は、米国では、現実に起きています。また、ネバタ州の核実験場 [*11] を候補地として進められてきた使用済み燃料の地層処分計画、「ユッカマウンテンプロジェクト」[*12] に、私は、研究員として参加しました。また、日本においても、高レベル放射性廃棄物の地層処分計画や、青森県六ケ所村での低レベル放射性廃棄物の最終処分施設の安全審査などにも参画してきました。そうした意味で、私は、放射性廃棄物の最終処分と安全評価について、永年、専門家として歩んできたわけです。
津田:素朴な疑問なのですが、そんなふうに放射性廃棄物の問題に取り組んできた田坂さんが、なぜ一度は原子力の世界を離れようと思ったのですか?
田坂:それは、先ほども述べたように、1990年に日本総研の設立に参画し、新たにシンクタンクという世界に活動の中心を移したからです。しかし、それは、原子力の世界に否定的になったからではないのです。むしろ、後進の若い人々が日本の原子力を安全に進めてくれることを期待する思いでした。しかし、こうして20年前に一度離れた原子力の世界ですが、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故に伴い、総理から内閣官房参与への就任を要請されて官邸に入り、それから5カ月、官邸と東京電力において事故対策に取り組んだわけです。
◇汚染水は「制御されている」のか?
津田:それではさっそく本題に入っていきたいと思います。最近の一番のニュースといえば、やはり2020年東京オリンピックの開催決定ですよね。そのこと自体については喜んでいる国民も多いし、僕自身も五輪招致決定がきっかけになって東北の復興が進むのであれば歓迎したいと思います。ただ、やはり安倍首相によるIOC総会の最終プレゼンでのスピーチ [*13] を聞いたときは複雑な気分でした。もちろん東京をアピールするためのスピーチですから、安全だと主張するのは仕方がないのかなと思いつつ、汚染水問題について「状況は制御されている」「汚染水は港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」などと明言する [*14] のはどうなのかなと。田坂さんは安倍総理のプレゼンをどう評価されていますか?
田坂:たしかに、日本でのオリンピック開催を期待する国民は多いわけですから、その気持ちを代表するかたちで「日本は安全ですから来てください」と発言された総理の立場は理解できます。ただ、あのスピーチを聞いたとき、何かの「デジャブ(既視感)」を感じたのも事実です。つまり、2011年12月、当時の野田総理による原発事故の収束宣言 [*15] を聞いたときと同じような印象を受けたのです。
津田:「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断した」という例の宣言ですね。
田坂:そうです。冷温停止「状態」という言葉です [*16] 。その表現を使って「冷温停止」の解釈を広げようということなのでしょうが、本来の「冷温停止」[*17] には明確な定義があります。当時の状態を「冷温停止」と呼ぶのには、原子力工学の専門家として、大きな違和感がありましたし、収束を宣言することにも賛成はできない。それは、原発推進派か反対派かとは関係なく、正しい原子力工学の知識を持っている人間であれば、誰もが私と同じ印象を抱くのではないでしょうか。実は、野田さん自身も、この表現が適切ではないことは分かっていたのかもしれませんが、政治的な立場からあのような発言を、あえてしたのかもしれません。
津田:まさにIOC総会での安倍総理の発言と同じだったと。
田坂:たしかに、できるならば「アンダー・コントロール」と宣言すべき場面ではあったと思います。汚染水の問題は政府の管理下に置いて何としてもコントロールしていくと。周囲に危険が広がるような事態にはしないと。そう宣言すべき場面ではあったと思います。もちろんすべての国民がそう望んでいますし、それを実現したいという総理や政府の気持ちに偽りはないでしょう。ただ、専門家の立場で言わせていただくと、この状況を制御するのは非常に難しいと言わざるを得ない。それが現実だと思います。そして、問題は、海外メディアの反応です。この安倍総理の発言について、国内メディアは多少手ごころを加えて報道してくれますが、海外メディアはそうはいきません。最近、私もBBC [*18] やブルームバーグ [*19] 、ドイツやオーストラリアのテレビ局などから、この件について取材を受けますが、彼らは非常に厳しい目で見ています。怖いのは、「制御する」という言葉が国際公約になって、その公約を守れず、のちに大きな批判を受けることです。特に、海外メディアは、信頼を一度失うと、もう二度と信頼してくれないという怖さがあります。
津田:安倍総理の発言にはリップサービスの要素が大いにあったと。ただ、かなり強引ですがポジティブに解釈するとしたら、国際公約としたことで引き下がれなくなったと考えることもできませんか? 海外メディアからの突き上げが強ければ強いほど、失敗できなくなる。そうするともう東電だけに任せておくことはできないし、国が責任をもってお金を出して対策にあたらないといけなくなりますよね。
田坂:その通りだと思います。安倍総理の発言がリップサービスかどうかはともかく、あの場面で安全宣言したこと自体について批判するつもりはありません。ただ、重ねて申し上げると、専門家としては諸手を挙げて賛成することはできない。この問題は、仮にいま私がもう一度官邸に入って汚染水対策をすることになったとしても、数千億円の予算があってもそう簡単には解決しない問題です。汚染水の問題の後には、深刻な汚染土壌の問題も待っている。技術的には、難しい問題が山積みになって待ち受けているからです。
◇安全性より社会的受容性を
津田:専門家から見て、いまの汚染水をコントロールするのは非常にむずかしいと。いろいろな要因があると思うのですが、何が最大の障害になると思いますか?
田坂:改めて言うまでもなく、まず第一は、増え続ける汚染水の問題です。福島第一原発の1〜4号機の建屋には、1日400トンもの地下水が流れ込んで汚染水となっています [*20] 。それを汲み上げてタンクに貯蔵しているわけですが、タンク自体が応急処置的につくられたものなので、漏えいが起こる。本来は鋼材を溶接したタンクを使うべきところを、ボルトでつなぎ合わせただけの簡易なものを使っている [*21] 。だから漏えいしても仕方がない。このような、「急いでタンクを作っては漏えいする」という泥沼のようなサイクルから一刻も早く抜け出す必要がありますが、溶接型のタンクに切り替わったとしても、いずれタンクの数という意味で限界がくる。従って、1日400トンも発生する汚染水を減らすことを考える必要がある。そのためには、建屋の周りの土を凍らせて地下水の浸入を防ぐ「凍土壁」を計画しているわけですが [*22] 、実は地下水というものはそう簡単に制御できるものではないのです。これは地下水による放射性物質の移行を研究してきた専門家として、敢えて申し上げておきます。
津田:汚染水は日々増加する一方なのに、現状ではそれを食い止める有効な手立てが見つかっていないということですね。
田坂:それから第二の問題は、敷地内のタンクに大量に貯蔵されている汚染水を、今後どうするのかという問題です。汚染水問題を最初に聞いたとき、汚染水の中にトリチウムが含まれていると知り、これは極めて難しい問題になると直観しました。なぜなら、現在、試運転中の「ALPS」[*23] と呼ばれる放射性物質を吸着する装置を使っても、セシウムやストロンチウムなどは取り除けても、トリチウムは除去できないからです [*24] 。従って、最後まで残る「トリチウムで汚染された水」をどう処理・処分するかという問題が残るわけです。専門技術的な視点で言えば、これは最終的には法律で定める放出許容濃度以下にまで希釈して海に放流するしかないと思いますが、もしそうした方法を採った場合には、地元の漁業関係者や海外諸国の強い反発が起こると思います。従って、この問題は、「技術的安全性」の問題を超えた、極めて大きな壁に突き当たるでしょう。
津田:うーん……。破綻覚悟でタンクをつくって汚染水をため続けるか、トリチウムに汚染された水を相当希釈して海に流すか。どちらも選びづらいというか、それ以外の選択肢はもうないのでしょうか?
田坂:残念ながら、専門技術的に見ると、希釈して海に流すのが現実的な唯一の方法だと思います。ただ、先ほども申し上げた通り、そこで問題になるのは地元や海外からの反発。すなわち、この放射性廃棄物をめぐる問題は、「技術的安全性」の問題を超えて、「社会的受容性」(パブリックアクセプタンス)[*25] ——それを社会が納得するかどうかという問題に突き当たるのです。医学的な視点から言えば、トリチウムはセシウムやストロンチウムなどの放射性物質に比べ、人体への影響は少ないのですが [*26] 、地元漁業者にとっては濃度の大小、人体への影響の大小がどうであれ、放流によって起こる「風評被害」が深刻な問題になるのです。
津田:法で定められた基準のトリチウムを流したとしても、風評被害は避けられない。それが引き金になって福島の漁業が壊滅するんじゃないかということが僕は心配なんですね。現実問題として、いまも福島の漁業はほとんど休業状態だというような状況が続いているわけです。もし、最終的に汚染水を希釈して海へ放出すると決断した場合、福島の漁業関係者には廃業していただき、国がなんらかのかたちで補償するなどという事態もありえるわけですよね……。
田坂:そうですね……。漁業関係者の方々の気持ちを考えると、軽々しく語るべきではない問題なのですが、海の汚染については、長い年月の間に何が起こるのか、科学的に見て、まだ分からない点も多々あるのです。海にはいわゆる生物濃縮や食物連鎖のプロセスがありますので、海水の汚染が、微生物から始まって大きな魚に蓄積されていく。これが顕在化するまでに通常は数年かかると言われているのです。つまり、いまはまだ、色々なプロセスが目に見えないところで進行している段階です。東京オリンピックまでの7年間という年月で考えると、これから数年間で海の汚染がどう広がっていくのか、モニタリング・データも含めて、細かく監視していくべきでしょう。
◇内閣官房参与として得た教訓
津田:汚染水の問題を解決するには越えなければならない高いハードルがたくさんあると。ただ、そんななか安倍総理が「状況はコントロールされている」と言い切った背景には、それなりの対策があったのではないかとも思ってしまいます。この汚染水問題に今後どう対処していくのか、日本政府としての具体的なロードマップはあるとお考えですか?
田坂:政府のロードマップがあったとして、それが本当に技術的に実現可能なものなのかという点をチェックする必要があると思います。なぜなら、政治家の方々は政治については優秀なエキスパートなのですが、技術的な問題になるとほとんど何も分からないので専門家の意見を聞くしかないのです。そして、この専門家としては、大きく分けて二つの種類の人間がいます。一つは学識経験者、もう一つは官僚です。しかし、残念ながら、官僚機構の中に、放射性廃棄物の環境影響評価の専門家はほとんどいません。そして、これはつとに指摘されることですが、官僚機構は、目の前の問題をつねに限定的に描いて楽観的に評価する傾向があるのです。それは、決して官僚の方々に悪意があるのでも、無能だからでもなく、官僚機構というシステムの性質上、そうなってしまうのです。一般に、官僚の方々は、ひとつの部署で数年働いて別の部署に異動しますから、自分の在任期間中に問題が大きくならないように、もしくは、自分の在任期間中に新たな問題が起こらないように、筋書きを作り、政策を作ってしまう傾向があるのです。そのため、将来起こり得る問題をすべて明らかにし、それらを10年、20年かけて解決しようとする緻密な政策は、基本的に作られないのです。いわゆる「鉛筆を舐める」という言葉通り、形だけ整ったもっともらしいロードマップや長期計画は作られるのですが、技術的な側面や経済的な側面から徹底的に検討されたロードマップや長期計画を作られることはないのです。それが、過去の原子力計画の多くが「ミラージュ計画(蜃気楼は、近づくと、遠くに逃げていく)」と揶揄されるように、目標達成の時期が近づくと、また、その達成時期が延期され、先延ばしされるという計画になってしまっている理由でもあります。それは、再処理工場の計画でも、高速増殖炉の計画でも、地層処分場の計画でも、すべて共通です。
津田:なるほど……だれも責任を取らない官僚機構の体制が事態を悪化させている側面もあるということですね。田坂さんは内閣官房参与として実際に官邸の中に入って、原発事故の対策にあたっていました。ほかにも再生可能ネルギー特別措置法 [*27] の早期制定や浜岡原発の停止要請 [*28] にも関わっていらっしゃいましたよね。政権の中枢にいた5カ月間で、何がもっとも大きな問題であると感じられましたか?
田坂:政府の関係者の中にある「問題を楽観視する傾向」でした。例えば、福島第一原発事故が起こった当初、政権中枢では、「最悪の場合、首都圏の3000万人が避難対象になる」[*29] ということが議論されました。これは2011年3月25日に菅総理の指示で近藤駿介内閣府原子力委員長が作成した「最悪シナリオ」——通称「近藤メモ」に書かれていた予測です。その近藤メモを見たのは、当時の政権中枢でもごく限られた人間だけでしたが、私もその一人でした。当時は1〜4号機が電源喪失で冷却機能を失っており、なかでも1533体もの燃料を保管していた4号機の使用済み燃料プールは最も危険な状態だったのです。そして、もし万一、この燃料プールが崩壊すれば、使用済み燃料が自熱で溶融を始め、放射性物質が放出される。その結果、風向きによっては、いずれ東京にも汚染が広がる。その予測結果を示したのが近藤メモです。その報告を聞き、メモを読んだときには、内心、暗澹たる気持ちになりました。その夜、官邸の駐車場で夜空を見上げながら「自分は映画を見ているのではないのだ」と溜息をついたことを覚えています。この「首都圏3000万人の避難」の可能性に対して、原子力の維持・推進を求める政治家の方々や学者の方々は、「あれは最悪の事態を論じたもので、現実には起こり得ない」「仮に4号機の使用済み核燃料プールが崩壊しても、すぐに東京が汚染されるわけではない」「意図的に危機感を煽る、大げさな議論だ」との批判をしていますが、私は、この「近藤メモ」を、全く別な意味で非常に深刻に受け止めたのです。なぜなら、私は、かつて原子力の専門家でしたが、近年は、シンクタンクで社会システムの研究も行っていた専門家でもあったので、技術的視点と社会心理的視点の双方から、問題を見つめる立場だったからです。
津田:それはどういうことでしょうか?
田坂:ある意味で、先ほどの学者の方々の指摘は正しいのです。仮に4号機の使用済み核燃料プールが崩壊しても、すぐに東京が汚染されるわけではない。近藤メモのシミュレーション結果によれば、燃料プール崩壊という最悪の事態が起こったとしても、放射性物質が東京に到達するまでには1カ月近くの時間がかかるということになっていたのです。しかし、私が深い危機感を抱いたのは、そうした「技術的予測」の結果に対してではなかったのです。なぜなら、もし仮に4号機の燃料プールが崩壊するという事態が生じたとき、何が起こったか。当然のことながら、まず記者会見を開かねばならなかったしょう。その結果、何が起こったと思いますか?
津田:そうですね……。まぁ、記者からの質問攻めにあうでしょうね。
田坂:その通りです。その記者会見において、当時の枝野官房長官が、記者から「この後、何が起こりますか?」と聞かれれば、政府としては「近藤メモ」のシミュレーション結果を伝えないわけにいかない。そして、「最悪の場合、何が起こるか」と聞かれれば、「東京が汚染される可能性がある」と答えざるを得ない。たとえそれまでに1カ月〜3カ月かかるとしても、降ってくる放射性物質の濃度が許容濃度よりもかなり低いとしても、必ず社会的パニックが起こってしまいます。福島から最初に放射性物質が飛来した、あの3月15日 [*30] でさえ、東京を脱出する在日欧米人で密やかなパニックが起こっていたのですから、この発表がされた後の、東京での社会心理的パニックは、想像を超えたものになっていたでしょう。すなわち、この「最悪シナリオ」の問題は、「技術的視点」だけで論じても意味がないのです。「社会心理的視点」からも起こり得るリスクを論じないと、意味がないのです。しかし、このことがわかっていない政治家や学者の方々は、問題を楽観視する傾向があるのです。私は、そのことに強い危機感を抱いていました。
津田:4号機の話が出たのでそれについてもお伺いします。端的に、いまの4号機の状況はどうなっているんでしょうか。使用済み燃料プールが崩壊しないよう、事故直後から補強工事が進められていましたよね [*31] 。最近は工事がほぼ完了し、今年の11月にも燃料の取り出しが始まるという報道がありましたが [*32] 、今後も重大な事故を起こすリスクはあるとお考えですか?
田坂:8月には燃料プール内のがれきの撤去作業が始まったということで [*33] 、燃料取り出しに向けては、それなりに前進していると思います。この進展については、現場の作業員の方々の献身的な努力に敬意を表したいと思います。高放射線の環境下という悪条件のもとで全力を尽くしている作業員の方々には、深く感謝をしたいと思います。ただ、今回の汚染水貯蔵タンクの漏洩問題などを見ると、悪条件の下で、急ピッチで進めた燃料プールのコンクリート補強工事が、どれほど信頼できるのかという疑問を持たれる国民もいると思います。これは決して作業員の方々を批判しているのではなく、いまの現場の作業体制では工事に手落ちが生じるというリスクは避けられないと思っています。いずれにしても核燃料がプールから完全に取り出されるまでは楽観視するべきではないでしょう。私は、いまも関東や東北地方で地震が起こるたびに「4号機は大丈夫か」との思いが浮かびます。これは、あの5カ月間に身についてしまった職業病なのかもしれませんが……。
◇7年後の福島第一原発
津田:東電が発表した最新のロードマップ [*34] によると、いまお話を伺った4号機の使用済燃料プールからの燃料取り出しは今年の11月に開始する予定です。1〜3号機のプールから燃料が取り出されるのは2015年〜2017年にかけてで、炉心にある燃料デブリについても2020年ごろの開始が予定されています。実際のところ、東京五輪が開催される7年後の福島第一原発の状況はどのようになっていると思われますか?
田坂:その質問に、専門家として誠実にお答えするならば、残念ながら、7年たっても1〜3号機に関しては現状から大きく進展はしていないと思います。もちろん、水素爆発を起こしたあとの無残な建屋の姿は、カバーを構築して外から見えない状態にはなっているでしょうが、1〜3号機の炉心はメルトダウンを起こしていますから、それは核燃料と炉心構造材が融合した「高レベル放射性廃棄物」の塊になっています。ただし、この高レベル放射性廃棄物は、通常の再処理工場から発生するガラス固化された放射性廃棄物とは全く異なり、組成も性質も形状も分からない、世界に存在する高レベル放射性廃棄物の中で最も扱いにくいものになっています。これを炉心から取り出すのは、現在の技術では至難の業であり、それを東京五輪までに取り出せるという状況は、残念ながら考えにくいと思います。
津田:現実の問題として、いまはまだ人が近づくことすらできないですからね。どんな高線量下でも作業できるロボットのようなものが登場して初めて現実味のあるスケジュールが立てられるかもしれないという。
田坂:そうです。人が近づくと数十秒で即死するようなレベルの高放射線環境下では、コンピュータも誤作動しますから、まずコンピュータとロボットの開発に10年はかかるでしょう。そして、仮にロボットが完成して炉心に近づき、この高レベル放射性廃棄物を取り出すことができたとしても、その厄介な高レベル放射性廃棄物をどこに持っていって最終処分するのかという問題もあります。この先に山積している問題を解決するには、かなり長期間の技術開発と対策工事を想定せざるを得ないでしょう。
津田:僕たちが生きている間に解決することはほぼ不可能に近いと。
田坂:津田さんはまだ若いので分かりませんが、私が生きているうちに廃炉を見届けるのはかなり難しいでしょう。通常の原発でも、廃炉までに30年はかかると言われていますから、福島第一の原発は、その廃炉に、さらに長い年月が必要でしょう。そもそも、「福島第一原発の廃炉」を通常の「廃炉」という言葉で語ることは適切ではないのです。
津田:というのは?
田坂:通常の廃炉というのは、使用済み燃料と、その中に入っている高レベル放射性廃棄物を原子炉の外に取り出し、その後に残った、汚染レベルのそれほど高くないコンクリート建屋や圧力容器、格納容器を解体していくというプロセスです。これに対して、福島第一原発の廃炉は、この使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物、圧力容器、格納容器、コンクリート構造物などがすべて溶けて混ざってしまっているものを解体するというプロセスです。従って、これは、通常の廃炉とは、全く違ったプロセスなのです。原子力規制委員会は40年で廃炉を完了すると明示していますが [*35]、この数字は、おそらく、通常の廃炉で30年かかるから、それにプラス10年しておこうという程度のものでしょう。特に、技術的な検討を積み上げたものではないと思います。意欲的に目標を設定する気持ちは分かりますが、それはどこまでも「努力目標」であって、現時点では、40年で福島第一原発を解体・廃炉にできるという技術的な根拠はないでしょう。
津田:では、オリンピック開催までの7年間というスパンを見たときに、まずは4号機の使用済み燃料プールから燃料を全部取り出すことだと。その次にようやく1号機から3号機のことを考えるという次のステップに進める。
田坂:4号機と1〜3号機は、全く違う難しい作業ですが、順序としてはそうなります。ただ、やはり専門的な立場から申し上げると、4号機から燃料を取り出して4号機の解体・廃炉に取り組もうとすると、現在の汚染水問題が障害になる可能性があります。現時点でこれを論じる人はいないので、敢えてここで申し上げておきますが、汚染水が地下を通る際、放射性物質は土壌に吸着されるのです。従って、下流の地下水から汚染が検出されないのはある意味で当然なのですが、逆に言えば、福島第一原発の地下に汚染水が流れ込めば流れ込むほど、地下の土壌系に放射性物質が蓄積して濃縮していくのです。そうすると、4号機の解体・廃炉に際して、この原発の下の土壌が極めて高濃度の汚染土壌になっている可能性があるわけです。従って、数十年後に、これをどうするのかという問題に直面することになります。この問題についても、現時点で、検討を始めておくべきでしょう。
◇汚染水問題はパンドラの箱?
津田:ここでもやはり汚染水の問題にぶち当たってしまうと……。そもそも論になってしまいますが、汚染水の問題については2011年からさまざまな懸念がありましたよね。海への漏えいも早い段階から指摘されてきたのに、東電と政府は頑として認めようとしなかった。最終的には今年7月の参院選翌日に認めることになった [*36] わけですが、この問題が2年もかけて深刻化していったのはなぜだとお考えですか?
田坂:その大きな原因は、東京電力という一つの民間企業に事故対策の責任を負わせたことだと思います。営利企業である民間企業が事故対策の責任を負えば、当然、企業としての収益性などを考えての対策しか打てません。端的に言えば、できるだけお金のかからない方法でやろう、今やらなくていいことは後回しにしようという企業心理が働いてしまうのです。それが分かっていながら事故対策を民間企業に委ねたということは、中途半端な対策を容認してしまったということです。私は放射性廃棄物の専門家として、前政権の頃から「国が前面に出るしかない」と考えていました。国費は国民の税金ですから軽々しく使うべきではありませんが、やはり最初から、国が予算に限度をつけずに事故対策にあたるべきだったと思っています。
津田:ということは、責任は東電に任せると決めた民主党政権にあるということになります。民主党はなぜ東電に任せざるを得なかったんでしょうか。
田坂:その背景には、いろいろな問題が複雑に絡んでいたと思います。一つには、東電の破綻処理の問題がありました。東電を破綻させてしまうと、その後の補償対応などが難しくなると予想されたので、東電は存続させつつ政府の支援のもとで事故対策に当たらせようと考えた。そういう政治レベルでの判断を、前政権がしたことは事実です。
津田:しかし、現状ではそれが完全に裏目に出ている。
田坂:そうです。これにはいろいろな議論があると思いますが、汚染水対策や放射性物質の環境への影響という視点に限って言えば、最初から国が前面に出るべきだった。それが私の考えです。そして、先ほど津田さんは「2年かけて深刻化した」と言われましたが、実は、いま顕在化している問題は、まだ序曲にすぎないのです。言葉を換えれば、現状はまだ、「パンドラの箱が開いた」という段階です。
津田:なるほど、「パンドラの箱が開いた」段階だと。ではこの先、汚染水問題で新たなトラブルが起こるとしたらどんなことがありえますか?
田坂:例えば、放射性物質除去装置「ALPS」が無事に稼働し、汚染水から放射性物質が除去され始めたとしましょう。すると、水は浄化されていきますが、そこで取り除かれた放射性物質は、フィルターやイオン交換樹脂、スラッジに濃縮・蓄積されていきます。これは、かなり高濃度の放射性廃棄物ですので、日本国内では、最終処分する場が見つからないでしょう。従って、早晩、この高濃度放射性廃棄物の最終処分という問題にも突き当たる。しかし、現状ではそのことにまったく触れられていないのです。
津田:そんなリスクがあったんですか。たしかに聞いたことないですね……。
◇最大の敵は人間の心理
津田:汚染水問題がさらに悪化する可能性から現在のトラブルまで、今日はさまざまなお話を伺ってきましたが、結局どの問題も突き詰めると田坂さんがたびたびご指摘されている社会的受容性に行き着いてしまう。これをクリアしなければ汚染水の問題は解決しないと感じたのですが、そのためには何をすればいいのでしょうか。
田坂:残念ながら、特効薬はありません。現在、日本の原子力行政は国民の信頼をまったく失ってしまっていますので、いま、政府がいくら「これは安全です」「安心してください」と言っても、国民は、この言葉を信頼できないでしょう。原発の問題については、しばしば「安全」「安心」ということの重要性が指摘されますが、実はそれより大切なものがある。それが「信頼」なのです。
津田:では具体的に、行政と東電が国民からの信頼を回復するにはどうすればいいとお考えですか?
田坂:これから起こる可能性のある問題を、包み隠さず、すべてテーブルに出し、国民の前に明らかにすること。そのうえで、在野の研究者・技術者も含めて、その解決策について、徹底的な議論をする。そのことが、国民からの信頼を回復する唯一の方法と思います。
津田:原子力行政の信頼回復といえば、昨年から今年にかけてはターニングポイントとなりそうな出来事がふたつありました。ひとつは原子力規制委員会 [*37] の発足 [*38] 、そしてもうひとつは民主党政権から自民党政権に変わった [*39] ことです。このふたつの要素は今後の原子力行政に変化をもたらすのか。それはポジティブなものなのかネガティブなものなのか。または従来と何も変わっていないのか。田坂さんはどう思われますか?
田坂:原子力規制委員会と政権交代については、このあと改めてお話ししますが、一つの良い転機にはなるでしょう。繰り返しになりますが、いずれにしても汚染水問題も原発事故そのものも、国民からの信頼回復なしに解決することはできません。そして、その信頼回復を妨げている最大の障害は、「根拠の無い楽観的空気」や「正常化バイアス」といった人間心理と組織心理にある。その問題を正視することこそが、真の事故収束への第一歩になると思います。
(後編はこちら)
▼田坂広志(たさか・ひろし)
東京大学工学部卒業。同大学院修了。工学博士(原子力工学)。民間企業、米国シンクタンク・バテル記念研究所を経て、日本総合研究所の設立に参画。取締役・創発戦略センター所長等を歴任。多摩大学大学院教授。シンクタンク・ソフィアバンク代表。社会起業家フォーラム代表。世界経済フォーラム(ダボス会議)グローバル・アジェンダ・カウンシルメンバー。2011年3月より内閣官房参与として福島第一原発の事故対策にあたる。主な著書に『官邸から見た原発事故の真実』『田坂教授、教えてください。これから原発は、どうなるのですか』『目に見えない資本主義』『プロフェッショナル進化論』『仕事の思想』などがある。
ウェブサイト:http://www.hiroshitasaka.jp/
[*1] https://www.facebook.com/pages/69%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E4%BC%9A/243616355690494
[*2] http://blog.hiroshitasaka.jp/
[*3] http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/29_a.html
[*4] http://www.sophiabank.co.jp/news/2011/07/tgtrexten.html
[*6] http://kotobank.jp/word/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E4%BC%9A%E8%AD%B0
[*8] http://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85
[*9] http://kotobank.jp/word/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85
[*10] http://kotobank.jp/word/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E5%BB%83%E6%A3%84%E7%89%A9
[*11] http://www.nhk.or.jp/no-more-hibakusha/koe.html#p3
[*12] ただし、2009年にオバマ政権によって建設の凍結が公表された。
http://www.president.co.jp/pre/special/barackobama/14419/
[*13] http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0907ioc_presentation.html
[*14] http://mainichi.jp/select/news/20130908k0000m010095000c.html
[*15] http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2011/1216kaiken.html
[*16] http://kotobank.jp/word/%E5%86%B7%E6%B8%A9%E5%81%9C%E6%AD%A2%E7%8A%B6%E6%85%8B
[*17] http://kotobank.jp/word/%E5%86%B7%E6%B8%A9%E5%81%9C%E6%AD%A2
[*19] http://www.bloomberg.com/
[*20] http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130928ddm001040052000c.html
[*21] http://www.jiji.com/jc/zc?k=201308/2013082000739
[*22] http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130530/dst13053021570013-n1.htm
[*23] http://kotobank.jp/word/%E5%A4%9A%E6%A0%B8%E7%A8%AE%E9%99%A4%E5%8E%BB%E8%A8%AD%E5%82%99%EF%BD%A2ALPS%EF%BD%A3
[*24] http://www.minpo.jp/news/detail/2013091410876
[*25] http://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9
[*26] http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130922/dst13092220050009-n1.htm
[*27] http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/2011kaitori.pdf
[*28] http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201105/06kaiken.html
[*29] http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/09/19/kiji/K20110919001651870.html
[*30] 東京に放射能が来た日(2011年3月15日)- togetter
[*31] http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110730-OYT1T00753.htm
[*32] http://www.47news.jp/47topics/e/245207.php
[*33] http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130826/dst13082621540013-n1.htm
[*34] 東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ – 東京電力
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/t130627_03-j.pdf
[*35] http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0102E_R00C12A8EA2000/
[*36] http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20130722/
[*38] http://mainichi.jp/opinion/news/20120927k0000m070128000c.html
[*39] http://www.cnn.co.jp/world/35025822.html
最終更新: 2013年11月22日